AIでつくってみた

AIの「たぶん壊れています」を確かめたら、壊れていなかった

AIが出したもっともらしい原因を、記録で確かめずに信じるとどうなるか。実際に直さなくてよいものを直しかけた例と、その場で使える確かめ方を紹介します。

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AIに何かを相談すると、たいてい「原因はこれです」という答えが返ってきます。理由も筋が通っていて、読むと納得できます。

先日、私はその答えをそのまま信じて、壊れていないものを直しにいきました。

この記事は、その失敗と、次から同じ間違いをしないための確かめ方の記録です。特別な知識は必要ありません。AIを仕事や暮らしで使い始めた人が、そのまま使える内容にしています。

症状から原因を推測して直すと、直さなくてよいものを直してしまう

何が起きたのか

このブログを更新したときの話です。

いつもは、変更を送信すると自動で公開の処理が始まり、数十秒で新しいページが見られるようになります。ところがその日は、管理画面をいくら見ても、公開処理が始まった形跡がありませんでした。

そこでAIに状況を伝えて相談しました。返ってきた答えは、こういうものでした。

送信は届いているのに公開処理が作られていないので、連携の権限が切れている可能性が高いです。設定を確認して、つなぎ直してください。

もっともらしい説明です。実際、そういう不具合はあります。私はこの説明を受け入れて、自動公開をあきらめ、手動で公開する方法に切り替えました。

翌日、記録を見たら違っていた

次の日、記録そのものを確認しました。管理画面の見た目ではなく、いつ何が起きたかが時刻つきで残っているデータのほうです。

そこに残っていたのは、こういう事実でした。

  • 送信から 33分27秒後に、自動公開の処理がきちんと作られ、成功していた
  • 2回目の送信も、38分09秒後に同じく成功していた
  • それ以前の7回は、いずれも送信から 1〜2秒で始まっていた
  • しかも、あとから届いた自動公開が、私の手動公開を上書きしていた

つまり、連携は一度も切れていませんでした。壊れていたのではなく、その日だけ遅れていたのです。設定をつなぎ直す必要はまったくありませんでした。

もし言われたとおりに設定を触っていたら、正常に動いているものを触って、新しい問題を作っていたかもしれません。

なぜ間違えたのか

原因は、AIが賢くなかったからではありません。確かめずに進んだからです。

振り返ると、三つの取り違えがありました。

  1. 「画面に出ていない」を「起きていない」と読んだ。 本当は「まだ出ていない」だけでした。この二つは見た目が同じです。
  2. もう一度試して、同じだったことを根拠にした。 遅れている最中に2回試しても、同じ遅れを2回見ているだけです。別の確認になっていません。
  3. 正常なときの数字を知らなかった。 普段が1〜2秒だと知っていれば、「30分待った」時点で、異常の有無ではなく遅延の可能性を疑えました。

AIは、こちらが伝えた症状に合う原因を組み立てるのが得意です。ただ、こちらが記録を渡していなければ、AIも見ていないものについては推測するしかありません。推測が悪いのではなく、推測を結論として扱ったことが問題でした。

その場で使える確かめ方

専門知識がなくても使える形にまとめます。AIに相談したあと、対処に進む前に挟むだけです。

1. 「それはどこを見れば確認できますか」と聞く

原因の説明ではなく、確認方法を聞きます。答えが「画面を見てください」で終わるなら、まだ確かめられていません。時刻や履歴が残っている場所を教えてもらいます。

2. 見た目ではなく、記録を見る

一覧に出ていない、表示されない、反応がない。これらはすべて症状であって、原因ではありません。いつ何が起きたかが残っているものを探します。

3. 正常なときの数字を控えておく

普段は何秒か、何件か、いくらか。ここを知らないと、目の前の状態が異常なのか判断できません。異常の定義は、正常を知って初めて決まります。

4. 直す前に「直さなくてよい可能性」を一つ潰す

「まだ終わっていないだけ」「反映が遅れているだけ」「そもそも別の場所を見ている」。この種の可能性を一つ確認してから対処に進みます。

5. 分かったことと、分からないままのことを分ける

今回で言えば、時刻は事実として確認できました。一方で、**なぜその日だけ遅れたのかは、いまも分かっていません。**サービス提供元の障害情報にも、その時間帯の記載はありませんでした。

分からないことを「たぶんこうだろう」で埋めない。これが一番効きました。

これは特別な話ではありません

生成AIを使う人は増えています。総務省の令和7年版 情報通信白書によると、日本の個人の生成AI利用経験率は、2023年度調査の9.1%から2024年度調査では26.7%へ上がりました。

続く令和8年版 情報通信白書のデータ集にも、「AI利用のリスクに関する考え方」や「AIの適切な利用のために気を付けていること」という調査項目が並んでいます。使う人が増えるほど、答えの受け取り方そのものが話題になっている、ということだと受け取りました。

なお、この2つの割合の中身は図表画像として公開されており、私はまだ数値を読み取れていません。読み取れていないものを、読み取ったように書くのはやめておきます。

まとめ

  • AIの答えは、たいていもっともらしい。もっともらしさは、正しさの証拠にならない
  • 症状と原因は別物。「出ていない」は症状で、原因ではない
  • 対処に進む前に、記録で一つだけ確かめる
  • 正常なときの数字を知っておくと、推測しなくてよくなる
  • 分からないことは、分からないまま書き残す

私はこの日、30分待てば直っていたものを、あわてて別の方法で回避しました。手を動かした分だけ、状況は複雑になりました。確かめる時間のほうが、直す時間より短かったというのが、今回いちばん残った感想です。

AIと一緒に何かを作る過程は、制作過程編にも記録しています。うまくいかなかったことも含めて残しています。